令和5年度

農業で幸せに生きていく


令和5年度SCC第2回目のオンライン講義は、徳島県阿南市で活躍され注目を浴びる株式会社情熱カンパニーの代表取締役、三木義和さんをお招きしました。彼はEO Setouchiにも所属する熱い情熱を持った起業家です。

この日の講義は、まず受講生たちの自己紹介と受講生が取り組んでいる事業や課題の共有からスタートしました。驚くことに受講生たちが取り組む事業や課題の範囲は非常に幅広く内容もさまざまです。介護、害獣対策、士業、介護予防、地域移住等、まるで彩りあざやかなビジネスのファーム(農園)のようでした。一人ひとりが自らのテーマにどのように向き合っているのか、心がこもった言葉で話す姿には、真剣さと情熱が伝わりました。受講生全員が自分の話しを終えた頃、オンライン上には特別な絆や連帯感が生まれ心が一つになったような空気が漂っていました。

講義は、情熱カンパニー10年間の道のりの振り返りから始まりました。

三木さんの、「どんなコトがあって、どうやって乗り越えてきたのか。それを共感しながら、みなさんの新しいアイデアや解決策を見つけ出すことを目標にしてほしい。」とのメッセージは、受講生たちにとっても大きなインスピレーションとなりました。

三木さんの事業は、一見すると農産物の生産・販売が中心となっていますが、その背後にはもっと深い使命が隠れています。株式会社チーム情熱は、農作業環境の特性を活かして、障がいや精神の病、難病を抱える人たちに向けた就労支援を行っています。一方、株式会社菜々屋は、徳島県の農家との連携を強化し、ゆるやかなアライアンスを形成。徳島県の4つの農業法人を中心とした共同販売や共同事業の展開を進めています。これにより、障がいや精神の病、難病を持つ人々が、農業という場での新しいチャレンジを体験し、そのスキルや得意なことを活かせる機会を提供しているのです。

徳島県阿南市に広がる約18万平方メートルの農地は、絵画のような美しい風景が広がる場所です。この農地は全て借地ですが、いずれも本社事務所のすぐ近くに位置しています。そして、そのすぐ隣には壮大な太平洋が広がり、豊かな自然環境が作物たちを優しく育てています。

「主な作物の栽培カレンダー」を見せてもらいましたが、8月の部分には、お米(オーガニック・コシヒカリ)、やケイトウ(お花)、そしてオクラ、ピーマン、ネギの収穫・出荷が盛んであることを示しています。この栽培カレンダーを一覧で見ると、一年を通じて収穫のピークが次から次へと続いており、農作業する人たちの作物や農作業に対する絶え間ない努力と献身が感じられました。

農作業中の動画を見ていると、何かが目を引きました。スタッフのユニフォーム、特に背中部分に、「情熱あれば夢叶う」という力強い言葉がプリントされていました。これは単なるスローガンではなく、彼らの日々の仕事の背後にある「理念」を示しています。彼らは、理念を文字通り背負って農作業に取り組んでいるのです。その姿を見るだけで、その理念の深さと重みを感じることができました。

さらに、出荷用の段ボール箱にも、大きく「情」と「熱」の文字が描かれていました。情熱カンパニーは、農産物を出荷するだけでなく、その中に「理念の想い」も一緒に詰め込んでいるのだと気付かされました。私の経験では、段ボール箱を見てこんなにも特別な感動を覚えたのはこれが初めてです。「商品の初印象が、ビジネスのブランドイメージを創る」とよく言われますが、情熱カンパニーの商品は、その事実を体現し実践していました。

情熱カンパニーは、伝統的な農業組織とは一線を画す、先進的な組織構造も持っています。全体の人材の最適化を担う「人マネジメントチーム」、デジタルトランスフォーメーションを推進する「情報システム部」、そして新たな農業価値を生み出す「新しい農業価値開発部」等々。これらの部署が織りなす組織は、そのユニークさと創造力で業界の新しい潮流を作り出しています。

そして、情熱カンパニーの核となるのは、その存在理由となる理念です。「農業で幸せに生きていく」というシンプルながらも深い意味を持つ言葉。これを具現化するためのミッション・ビジョン・バリューは以下のように表現されています。

・ミッション :   世界の社会課題を農業で解決する
・ビジョン  : 農業が社会のインフラとなる
・バリュー  : 世界を驚かす

このミッション・ビジョン・バリューは、情熱カンパニーの行動実践の中核であり、日々の活動と結びついています。これこそ、情熱カンパニーがひときわ輝く理由なのではないでしょうか。

アグリビジネスは、SCC受講生の中でも特異な存在かもしれません。しかし、この講義から得られる知識や洞察は、さまざまなビジネス領域に応用可能です。今回の学びは、それほど普遍的で有益な内容となっています。

私も、このブログ記事を執筆するため、講義の録画を何度も見返しました。そのたびに新しい発見や気づきがあります。実際のところ講義では気づかなかったポイントを録画の再視聴によって後から気づくことが多くありました。

SCCでは、受講生の深い学びをサポートするために、講師のご厚意で、LMS(学習管理システム)上での講義録画の視聴を許可していただいています。忙しい日々の中で、ぜひ時間を作って見直して下さい。音声を聴くだけでも価値は十分にあります。受講生の皆さん、価値ある機会を失わないようにして下さい。

今回の講義では、通常以上に活発なディスカッションが繰り広げられました。実に40分にも及ぶ質疑応答の時間は、まさに宝のような学びの場となりました。それぞれの疑問や不明点を共有し、集まった受講生全員で考えることで、多様な視点やアイデアが交差しました。この時間を通じ、自分だけの視点にとらわれず、他者の意見を聞くことで、自らが考えもしなかった新しい解決案やアイデアを発見することができるのです。こうした共有の時間は、新しい気づきや学びの場として非常に価値があると感じます。受講生たちもきっと同じように感じているものと思います。

最後に、三木さんからメッセージが送られました。

あなたたちが、本当にやりたいことに挑戦するには、最後に勇気が求められるでしょう。
でも、一度思い切って行動を開始すれば、前進へのステップが加速していきます。
誰もが綿密に計画や思考を重ねる中、最後の一歩は勇気を持って踏み出すことが大切です。
迷い続けるよりも、行動を起こすことの価値は計り知れません。
片目をつぶって、「えいやー」と言って片足を出す。
それでも怖かったら、両目をつぶって片足を出したらいい。
みんなそれなりに相当考えて考え抜いているはず。
最後は、片目をつぶって、「えいやー」と言って片足を出して下さい。
そうすればいろんな事が進んで行くのではと思います。
1分1秒でも早く始めることが大事です。
一緒にがんばって行きましょう。

三木さんの言葉には、挑戦するすべての人への情熱のこもった励ましが詰まっていました。私たちもチャレンジする未来に向かって頑張っていきましょう。

三木さん、心に響くお話をしていただき、心より感謝を込めてお礼を申し上げます。

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