SCC DAY7この日は、三原市立中央図書館に EO Setouchi よりお二人のスペシャルゲスト講師をお招きしました。
お一人目は、尾道市出身の佐藤友彦さん。
佐藤産業株式会社/ファニーズファクトリー株式会社の代表取締役です。
29歳で、家業の家具製造工場を事業承継しましたが、当時既に海外からの安価な輸入品家具に市場を脅かされていたため、その翌年には工場を閉めることを決断。その後、中古木工機械をベトナムへ持ち出し、佐藤さん自らも30歳でベトナムに移住し工場を創業。この決断は、ビジネスにとっても人生にとっても、大きな決断であったと思います。
約10年間をベトナムで暮らし、ASEAN地域をターゲットにタイにも会社を設立。40歳で日本に帰国し、インターネット通販会社「ファニーズファクトリー株式会社」を設立しました。
事業領域を、「 ” 住空間×ライフスタイル ” の住ライフスタイル創造企業」と定義し、やりたいこと・できること・求められている事がクロスするスポットを、ビジネスの主戦場としてピンを立てました。ビジネスモデルの型も、DtoC、BtoB、BtoCとセグメント別ターゲットを意識した販売ルートを構築し、多くの購入者をフォロー可能としたことで、コロナ禍においても躍進を続けています。
家具流通市場規模が衰退を続ける一方、EC市場に限っては順調に推移し、成長率は毎年5%を超える水準です。この領域でのEC化率は現在10%で、今後伸びしろはさらにあると見込み、EC事業へ舵を寄せた事業展開を続けています。
受講生には、それぞれが担っていくビジネスの市場規模、成長性が今後どのように変化するか、どのあたりで衰退期に入っていくのかを見極めながら、次の種を植え別領域に行くことも決して恐れずチャレンジするようアドバイスされました。これは佐藤さんの事業承継時から、今日に至るまでの原体験を総括した貴重なメッセージです。
佐藤さんの講義では、ビジネスを継続していく上で求められる、判断の連続をその都度決断する「戦略マネジメント」、決断したことを実行する「実践マネジメント」について、具体的な事例を交えながら学ばせて頂きました。
佐藤さんありがとうございました。
お二人目は広島市出身の児玉昇司さん。
「エルメス・シャネル・ヴィトンなどを貸し借り、無限に使い放題」で有名な、ラグジュアリーバッグのシェアリングエコノミー・サービスを提供する、ラクサス・テクノロジーズ株式会社の創業者です。
これまでのシェア累計金額は、既に1,000億円を突破。
ビジネスの特徴は
1. 毎月定額サービス(サブスクリプション)
2. 在庫は40,000種類以上
3. 無期限・個数無制限
つまり、「毎月定額で一生分のブランドバッグを使い放題」のサービスです。
バッグには、全てICタグが埋め込まれ、このICタグがネットにつながることでIoT管理が可能となり、大量の在庫をわずか2人で発送可能としています。サブスクリプションサービスでは重要指標となる「継続率」も非常に高く、6年間の実績で91.5%。9ヶ月超では98%以上と驚異の数値。これは、解約率がかなり低いことを意味します。
2つの企業価値では、
EC企業としての「LTV(ライフタイムバリュー)×会員数」
データ企業としての「顧客データ×会員数」を紹介。
データ活用事例では、ブランドやバッグごとの貸出日数・回数を解析し実際にどのように使用されているかを分析。
ファイナンスでは、WiLを中心とした約20億円の調達の他、ワールド(東証一部上場)から100億円を調達。このワールドとの提携では資金調達だけでなく、潜在顧客・見込み客を一気に増加させることも成功しています。
また持続可能な社会の実現を目指し、創業以来バッグの廃棄はゼロ。IoT管理により紛失もゼロ。エシカルファッションを日本から世界に発信するなど、SDG’s/ESGを強く意識したビジネスを創造しています。
この講義では、ラクサス・テクノロジーズの事業説明に重ね、マネジメントに必要な要素をたくさんお話し頂きました。
「失敗の反対が成功ではない。何回もの失敗の次が成功。失敗を恐れず成功をつかみとる。」の言葉が印象的でした。これは受講生に対して、失敗を恐れるな・失敗は成功の一歩手前・成功をつかみ取れの貴重なメッセージです。
児玉さんありがとうございました。
受講生は、いつもと違った雰囲気を感じながら、お二人の講義に参加していましたが、巨人の肩に乗り普段見ることのできない世界観を体験することができました。お二人と同じ場所・同じ時間を過ごしたことは、受講生にとって、貴重な体験として記憶に残るでしょう。この講義で教わったことは、この先何度も感慨深く思い出すことでしょう。